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【解説】歯科オンライン診療 スタートアップガイド(第1回)

特集

2021/02/16

<解説者>歯科医師 長縄拓哉 先生
歯科医師(医学博士) デジタルハリウッド大学大学院 ムツー株式会社代表取締役
東京歯科大学卒業。都内大学病院で口腔腫瘍、顎顔面外傷、口腔感染症治療に従事。デンマーク・オーフス大学に留学し、口腔顔面領域の難治性疼痛(OFP)について研究。口腔顔面領域の感覚検査器を開発し、国際歯科研究学会議(IADR2015、ボストン)ニューロサイエンスアワードを受賞。デンマークと日本の研究活動推進プロジェクトJD-Teletech日本代表。(一社)訪問看護支援協会BOCプロバイダー認定資格講座総括医師。 * 日本遠隔医療学会・歯科遠隔医療分科会長。 * 日本口腔顔面痛学会評議員、同学会診療ガイドライン作成委員。 * 日本口腔内科学会代議員。 * 厚生労働省教育訓練プログラム開発事業 メディカルイノベーション戦略プログラム委員。 * 千葉大学遠隔医療マネジメントプログラム委員。



AI、IoT、5Gなどのデジタルテクノロジーの進歩と、Withコロナというタイミングが重なり、オンライン診療の実施を検討中、または既に取り組みを開始されている歯科医療機関が増えています。日本国内においていち早く歯科オンライン診療の取り組みを開始し、日本遠隔医療学会・歯科遠隔医療分科会長を務めている長縄拓哉先生に、歯科オンライン診療を始めるうえでのポイントをお伺いしました。


■遠隔医療の分類
歯科オンライン診療と聞くと何か凄いシステムや技術が必要にも聞こえますが、実際には患者さんからの電話に対応する行為とあまり差異はありません。これまでの外来、入院、訪問診療スタイルに加わる新しい医療の提供方法として、一つの選択肢にすぎないのです。ただ、始めるうえで知っておくべき概要や法制度などがあるので、簡単に解説します。


オンライン診療は正確に言うと「遠隔医療」の中の一つのカテゴリーです。

<遠隔医療の三分類>※「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、「本指針」)(平成30年3月30日:厚生労働省)より

①オンライン診療
②オンライン受診勧奨
③遠隔健康医療相談(医師が行うもの/医師以外が行うもの)

「①オンライン診療」と「②オンライン受診勧奨」は歯科医師法に基づく「医療行為」と分類され(つまり、健康保険法で規定される)、「③遠隔健康医療相談」は歯科医師法の対象外で「非医療行為」となります(つまり、全額自費となる)。

■分類①「オンライン診療」の概要・法制度
1.概要

医師が直接ビデオなどを用いて患者を診察することを「Doctor to Patient(D to P)」といい、これがオンライン診療に該当します。
また、患者の隣に医療従事者がいるケースも考えられ、「Doctor to Patient with 〇〇(D to P with 〇〇)」と言われます。(例えば、患者の隣に医師がいればD to P with D、歯科衛生士がいればD to P with DH、看護師が入ればD to P with N、となります)
※専門医が一般的な歯科医師にアドバイスをする「Doctor to Doctor(D to D)」はオンライン診療には該当せず、遠隔医療の一つの形と考えます。


2.法整備

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うあくまで時限的な措置として、歯科オンライン診療に診療報酬上の特例的な取り扱いが認められています。

【制度変更】令和2年4月24日事務連絡 厚生労働省医政局歯科保健課より歯科診療における新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/000624720.pdf

【保険点数】令和2年4月27日事務連絡 厚生労働省保健局医療課より新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その15)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/gyomu/gyomu/hoken_kikan/020428_002.pdf

これまでの経緯としては、下記をご参考ください。



◎平成9年(1997年)厚生省健康政策局長通知
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/johoka/dl/h23.pdf「遠隔診療は、あくまで直接の対面診療の補完であるが、・・・・・・・・

◎平成27年(2015年)8月10日事務連絡 厚生労働省医政局長
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000094452.pdf▶遠隔診療の利用場面や対象疾患が緩和=実質的な解禁
▶遠隔診療からオンンライン診療と名称が変更される
▶歯科についての記載がなくなる(今までは、医科と歯科が同様に議論されていた)
=歯科オンライン診療は想定外となる

◎その後、歯科オンライン診療について定められたガイドラインは存在しない。
しかし、平成30年の本指針の「見直しに関する検討会」では、医師だけでなく歯科医師と患者間のオンライン診療も可能性としてあることが議論されています。
(令和2年の事務連絡はあくまで時限措置ですが、歯科オンライン診療に関しては、引き続きこの検討会で議論されていくと想定されます。)


3.歯科医療におけるオンライン診療(D to P)

歯科医療においては、オンライン診療のメリットが凄くあると思っています。対面診療かオンライン診療科の二者択一的な発想ではなく、対面診療の補完や棲み分けとして、歯科オンライン診療をご活用されることをおすすめしたいです。
特にメリットがあると感じるケースをいくつかあげさせていただきます。

◎歯科恐怖症患者やお子さんの対応両者とも歯科医院特有の音や匂い、雰囲気などで歯科受診を避けるケースが多く、結果的に歯科疾患が放置されてしまう傾向があると思います。
歯科オンライン診療は、ご自宅からリラックスした状態でご利用いただけます。徐々に先生とのコミュニケーションに慣れ、対面診療に移行するのも良いと思います。

◎診療室では分からない患者情報の取得外来診療では分からない、患者さんのご自宅での状況が把握できることは大きなメリットです。
ご自宅の様子、生活環境、食事風景・姿勢など、取得できる情報は多岐に渡ります。お孫さんがスマホでおじいさんの様子を撮影していただくケースなどもあります。
歯科治療においてはもちろんですが、生活習慣病に関するお話しなど、様々な角度でのアドバイスが可能になると思います。
他にも、歯科オンライン診療(D to P)でできることをまとめます。

・各種指導関連(TBIなど)
・抜歯後の経過観察
・補綴物装着後の経過観察
・歯科恐怖への対応(触られない、匂いも音もしない安心感)
・食事中の風景を観察
・小児への対応(お母さんとのお話し)
・認知行動療法
・動機付け面接
・各種運動療法(顎関節症のストレッチ、マッサージ、セルフケアをサポート)
・開口訓練
・慢性疼痛に対するマネジメント
・矯正関連
など



【解説】歯科オンライン診療 スタートアップガイド(第2回)






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