【新規開業の先生必見!】「歯初診」の届出を理解する#01
施設基準
2025/06/20

このコラムでは、「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準(歯初診)」の届出について、整理してお伝えします。
歯初診の届出が受理されると算定上どう変わる?
「歯初診」の届出が管轄の厚生局で受理されると、初診料として267点/再診料として58点が算定できるようになります(未届出の場合、初診料は240点/再診料は44点)。つまり、届出を行うことで、患者さん一人当たり初診料+27点、再診料+14点分の医院収入UPに繋がります。
また「外感染(歯科外来診療感染対策加算)」、「口管強(小児口腔機能管理料の注3に規定する口腔管理体制強化加算)」の施設基準のように、「歯初診」の届出を行っていることが前提条件となるものも存在します。
そのため、届出要件を満たす場合は、「歯初診」の届出提出に向けて準備を始めてみてはいかがでしょうか。
▼こちらは「歯初診」の届出に必要な研修内容を満たしています▼
「歯初診」はどれくらいの医院が受理されているの?全国の届出状況
「歯初診」の届出は、全国の医療機関でどの程度受理されているのでしょうか。全国の9つの都道府県のデータを基に調査してみました。(下表参照)

表を見てみると、地域によってばらつきはありますが、どの都道府県でも90%以上 の医療機関が「歯初診」を届出して受理されていることがわかります。
届出要件を知ろう!
「歯初診」を届出するにあたって、満たすべき要件にはどのような項目があるのでしょうか。厚労省の文書をみていきましょう!
1. 歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準
(1) 口腔内で使用する歯科医療機器等について、患者ごとの交換や、専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理を徹底する等十分な院内感染防止対策を講じていること。
(2) 感染症患者に対する歯科診療を円滑に実施する体制を確保していること。
(3) 歯科外来診療の院内感染防止対策に係る標準予防策及び新興感染症に対する対策の研修を4年に1回以上、定期的に受講している常勤の歯科医師が1名以上配置されていること。
(4) 職員を対象とした院内感染防止対策にかかる標準予防策及び新興感染症に対する対策等の院内研修等を実施していること。
(5) 当該保険医療機関の見やすい場所に、院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示を行っていること。
(6) (5)の掲示事項について、原則としてウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
(7) 年に1回、院内感染対策の実施状況等について、様式2の7により地方厚生(支)局長に報告していること。
2. 届出に関する事項
(1) 歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準に係る届出は、別添7の様式2の6を用いること。なお、当該届出については実績を要しない。
(2) 毎年8月において、別添7の様式2の7により報告を行うこと。
(3) 令和7年5月 31 日までの間に限り、1の(6)に該当するものとみなす。
「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」
保医発0305第5号(令和6年3月5日)
FAQ(Q&A)
Q 届出を行いました。いつから算定できますか?
→各月の末日までに届出を受理した場合は、翌月1日から当該届出に係る診療報酬を算定することができます。
また、月の最初の開庁日に届出を受理した場合には、当該月の1日から算定が可能です。
※厚生局によっては、別途、申請締切日を設けている場合があります。詳細は各厚生局のHPをご確認ください。
※重要※
従来の届出受理通知の送付廃止が決定しました。今後は、各厚生局のHPへの掲載のみに切替わります(令和7年度中予定)。ご留意ください。
Q 歯科医院のホームページが無いため、ウェブへの掲載ができません。どうしたら良いですか?
→自院のホームページが無い場合は、掲載する必要はありません。
しかし、その場合であっても、「当該保険医療機関の見やすい場所に、院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示」を行う必要があります。
※自院で所有するホームページがある場合は、院内感染防止対策を実施している旨の【院内掲示】と【ウェブ掲載】が必要です。
Q 「院内感染防止対策に係る標準予防策及び新興感染症に対する対策の研修」はどこで受講できますか?
→歯科医師会や、一部の団体で対面研修、オンラインでの研修を実施しています。開催日程や該当研修が含まれていることを確認の上、受講してください。
※オンラインやe-learningシステムを用いての研修は正式に認められています。「疑義解釈資料の送付について(その4)」厚生労働省保険局医療課,事務連絡(令和6年5月10日)
▼こちらは「歯初診」の届出に必要な研修内容を満たしています▼

Q 主として歯科訪問診療を実施する診療所(直近1か月に歯科訪問診療及び外来で歯科診療を行った患者のうち、歯科訪問診療を行った患者数の割合が9割5分以上の診療所)が、歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準の届出を行う場合において、様式2の6及び様式2の7の「当該保険医療機関の保有する歯科用ハンドピース(歯科診療室用機器に限る)」及び「歯科用ユニット数」はどのように記載すればよいか。
歯科用ハンドピースについては、歯科診療室で使用するものと歯科訪問診療の際に使用するものを合算した保有数を記載すること。
なお、主として歯科訪問診療を実施する診療所以外の歯科医療機関においても、歯科訪問診療の際に使用する歯科用ハンドピースの保有数を合算した保有数を記載しても差し支えない。
歯科用ユニット数については、診療室の歯科用ユニット数及び歯科訪問診療の際に使用する歯科用ポータブルユニット及び携帯型マイクロモーターの保有数を合算した数を記載すること。
「疑義解釈資料の送付について(その4)」
厚生労働省保険局医療課,事務連絡(平成30年5月25日)
Q 初診料の注1に規定する施設基準において、「歯科外来診療の院内感染防止対策に係る研修を4年に1回以上、定期的に受講している常勤の歯科医師が1名以上配置されていること。」とされているが、休日・夜間診療所など、院内感染防止対策を行っているが医療機関の特性上、常勤歯科医師を配置することが困難である場合はどのようにすればよいか。
当該施設基準は、常勤歯科医師が配置されていることが原則であるが、次の(1)~(3)に該当し、専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理等の院内感染防止対策が実施されている医療機関であって、非常勤歯科医師(当該医療機関の管理者に相当する者又は主に院内感染防止対策を担当する者等)が必要な研修を受講している場合については、当該医療機関の院内感染防止対策を行う歯科医師を常勤歯科医師に準じるものとして取り扱う。この場合において、様式2の8の受講者名の欄には、研修を受講した非常勤歯科医師名を記載する(研修を受講した歯科医師が複数名いる場合は、当該医療機関の管理者に相当する者又は主に院内感染防止対策を担当する者等の氏名の左に○を記載すること。)。
(1)自治体や地域の歯科医師会が開設する(自治体から委託又は補助金等を受けているものも含む)休日・夜間の急患や障害児(者)等を対象とする歯科医療機関であり、非常勤歯科医師が当番制で診療を担当している場合
(2)歯科を標榜する病院(歯科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科のいずれかを標榜)であり、歯科診療については非常勤歯科医師のみで行っている場合
(3)その他、医療機関の特性上、常勤歯科医師の配置が困難であると認められる特段の理由がある場合
(3)に該当すると考えられる場合においては、医療機関の現況(開設者、管理者、診療時間、非常勤歯科医師数及び勤務体制、当該医療機関が対象とする患者、診療内容等)と常勤歯科医師の配置が困難である理由を記載した理由書を地方厚生(支)局長に提出し、当該施設基準該当の適否について判断を求める。
「疑義解釈資料の送付について(その5)」
厚生労働省保険局医療課,事務連絡(平成30年7月10日)
「歯初診」の届出要件のハードルはそこまで高くないものの、対象研修の受講が必要になります。そのため、特に【開業を検討中の先生】は、前もって研修を受講することをお勧めします。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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