令和8年度診療報酬改定で新設! 「口腔機能実地指導料(口実地)」とは?
施設基準
2026/04/22
令和8年度診療報酬改定において、新たな点数項目「口腔機能実地指導料(46点)」が新設されました。
本コラムでは、これまでの加算から独立し、より専門的な評価へと変わった「口腔機能実地指導料」について、算定要件や施設基準の届出、歯科衛生士に求められる研修要件などを分かりやすく解説します。
1. そもそも「口腔機能実地指導料」とは?
これまで、歯科衛生士による口腔機能に関する実地指導は、「歯科衛生実地指導料」の加算(口腔機能指導加算)として評価されていました。今回の改定でこれが廃止され、より専門的な指導を評価する独立した項目として「口腔機能実地指導料」が新設されました。

2. 「口腔機能実地指導料」の算定要件とルール
■ 概要
- 点数:46点(月1回に限り算定)
- 対象患者:口腔機能発達不全症、または口腔機能低下症の患者
- 実施者:所定の実地指導に係る研修を受講した歯科衛生士(主治医の指示に基づき、口腔機能に係る指導を行う。)
所定の実施指導に係る研修
「口腔機能発達不全症及び口腔機能低下症の概要、検査法、訓練法及び実地指導方法等(入院患者や在宅・施設療養患者への対応を含むものであること。)に係る研修」
■ 指導内容の要件
以下のいずれかの指導を行います。
- 口腔機能の発達不全を有する患者:
正常な口腔機能の獲得を目的とした実地指導 - 口腔機能の低下を有する患者:
口腔機能の回復、または維持・向上を目的とした実地指導
- 文書提供は初回指導時に必ず行い、その後は状態の変化があった際に行う(変化がなくても6月に1回以上は文書提供が必要)。
- 歯科衛生実地指導の説明と指導を併せて行った場合は、歯科衛生実地指導の提供文書に併せて記載して良い。
B001-2―2 口腔機能実地指導料 46点
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であって、口腔機能の発達不全を有する患者又は口腔機能の低下を来している患者に対して、口腔機能発達不全症及び口腔機能低下症の実地指導に係る研修を受講した歯科衛生士が、主治の歯科医師の指示を受けて口腔機能に係る指導を行い、かつ、当該指導内容に係る情報を文書により提供した場合に、月1回に限り算定する。
参考:
「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(歯科点数表)」(令和8年厚生労働省告示第69号)
※「口腔機能実地指導料」については17ページに記載。
B001-2―2 口腔機能実地指導料
(1) 口腔機能実地指導料は、口腔機能発達不全症及び口腔機能低下症の実地指導に係る研修を受講した歯科衛生士が主治の歯科医師の指示を受け、以下のいずれかに該当する指導を行った場合に算定する。
ア 口腔機能の発達不全を有する患者に対して行う正常な口腔機能の獲得を目的とした実地指導
イ 口腔機能の低下を有する患者に対して行う口腔機能の回復又は維持・向上を目的とした実地指導
(2) 「注」に規定する文書とは、(1)に掲げる指導等の内容、保険医療機関名並びに主治の歯科医師の氏名及び当該指導を行った歯科衛生士の氏名が記載されたものをいう。なお、B001-2に掲げる歯科衛生実地指導料に規定する説明及び指導と併せて行った場合は、歯科衛生実地指導料の「注1」及び「注2」に規定する文書に併せて記載しても差し支えない。
(3) 患者に対する当該指導の内容の情報提供は、当該指導の初回時に行う。このほか、指導の内容に変化があったとき又は指導による改善が認められないとき等に必要に応じて行うこととするが、この場合においても6月に1回以上は当該指導の内容を文書により提供する。
(4) 主治の歯科医師は、歯科衛生士に患者の療養上必要な指示を十分に行うとともに、歯科衛生士に行った指示内容等の要点を診療録に記載する。
(5) 当該指導を行った歯科衛生士は、主治の歯科医師に報告するとともに患者に提供した文書の写しを提出し、業務に関する記録を作成する。主治の歯科医師は、歯科衛生士から提出を受けた患者に提供した文書の写しを診療録に添付する。
(6) H001―4に掲げる歯科口腔リハビリテーション料3を算定した日において、口腔機能に係る指導を実施する場合であって、その指導内容が歯科口腔リハビリテーション料3で行う指導・訓練の内容と重複する場合は、算定できない。
(7) 入院中の患者に対して当該指導を行った場合は、算定しても差し支えない。
参考:
「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(歯科点数表)」(令和8年3月5日保医発0305第6号)
※「口腔機能実地指導料」については、25~26ページに記載。
3. 施設基準と届出のポイント
「口腔機能実地指導料」を算定するためには、管轄の地方厚生局へ施設基準の届出(別添2の様式17の4)を行う必要があります。要件は以下の4点です。
- 歯科衛生士の配置:所定の研修を受講した歯科衛生士が1名以上配置されていること。
- 指導時間の設定:口腔機能実地指導を実施する時間が定められていること。
- ユニットの確保:指導を実施するための歯科用ユニットが確保されていること。
- 処遇改善:当該指導を行う歯科衛生士の処遇改善に係る取組を行っていること。
【届出要件の詳細】
第13 の4 口腔機能実地指導料
1 口腔機能実地指導料に規定する施設基準
(1) 歯科医師又は歯科衛生士を主体とする団体又は学会等が主催する口腔機能発達不全症及び口腔機能低下症の概要、検査法、訓練法及び実地指導方法等(入院患者や在宅・施設療養患者への対応を含むものであること。)に係る研修を受講した歯科衛生士が1名以上配置されていること。
(2) 口腔機能実地指導を実施する時間が定められていること。
(3) (2)の時間においては、口腔機能実地指導を実施するための歯科用ユニットが確保されていること。
(4) 当該指導を行う歯科衛生士の処遇の改善に係る取組を行っていること。
2 届出に関する事項
(1) 令和9年5月31 日までの間、(1)に該当するものとみなす。
(2) 口腔機能実地指導料の施設基準に係る届出は、別添2の様式17 の4を用いること。
参考:
「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(保医発0305第8号,令和8年3月5日)
※「口腔機能実地指導料」については、108ページに記載。
4. 疑義解釈と経過措置
「口腔機能実地指導料」に関する疑義解釈を以下に示します。
例えば、
・オンライン会議システムを活用する場合、受講者は原則としてカメラをオンにし、主催者が出席状況を確認できるようにする。
・受講者からの質問等について、オンライン会議システムの場合は、チャットシステムや音声発信を用いることや、必要に応じ質問・回答について研修会の Web ページに掲載する。
なお、受講の申込みをしていたが受講が認められなかった場合や受講を中断する場合には、遅延なく届出を辞退すること。
まとめ:算定に向けて医院が準備すべきこと
新設された「口腔機能実地指導料」をスムーズに算定・運用するためには、事前の準備が欠かせません。
- ・施設基準の届出が必須。
- ・歯科衛生士の研修受講が必要。
(令和9年5月末までは「受講予定」の旨を記載すれば可。しかし、期日までの受講と”再届出”が必要です。) - ・院内ルールの整備。
(算定のタイミングや、文書提供フロー、カルテ記載のルール化が必要です。)
口腔機能低下症や口腔機能発達不全症への対応は、今後の歯科医療においてますます重要視されます。要件を正しく理解し、患者さんの口腔機能向上に役立てていきましょう!
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