医療法等改定|「オンライン診療」と「管理者要件」はどう変わる?中医協の最新議論を解説
中医協の資料から考える
2026/01/19
令和8年4月1日から段階的に施行される医療法等改正に伴い、現在、中央社会保険医療協議会(中医協)において細かいルールづくりの議論が加速しています。
今回はその中から、「オンライン診療」と「保険医療機関の管理者」を巡る課題について、中医協の資料を基に解説します。
「オンライン診療」を巡る課題
医療法の改正により、オンライン診療に関する規定が整備されるほか、患者さんがオンライン診療を受けるための専用スペースとして、「オンライン診療受診施設」が新たに創設されます。
この「オンライン診療受診施設」の設置場所としては、公民館、郵便局、駅ナカブース、職場、介護事業所などが想定されています。

その中で現在、議論の焦点となっているのが「保険薬局内での設置」です。
現行のルール(療担規則や薬担規則)では、保険薬局と保険医療機関の間において、以下のことが禁止されています。
- 一体的な構造や経営を行うこと
- 経済上の利益を提供して患者を誘引すること
- 特定の保険薬局へ患者を誘導すること
しかし今回、医療資源が少ない地域における医療提供体制を確保するための配慮として、新たな案が浮上しています。
それは、「へき地に所在する保険薬局については、一体的な構造・経営の禁止を適用せず、オンライン診療受診施設の設置を可能にしてはどうか」というものです。
たしかに、薬局内で受けたオンライン診療で処方箋が発行されれば、そのまま同じ薬局で調剤を受ける流れが自然です。これは実質的に「特定の保険薬局への誘導」に繋がるため、慎重な議論が必要なのも納得できます。
現在、こうした例外措置を含めた運用上のルールづくりが進められています。

「保険医療機関の管理者」を巡る課題
2040年頃の医療ニーズの変化や人口減少を見据え、医療連携の強化や、自院内におけるチーム医療の推進がより一層求められています。
そこで、適切な管理能力を有する者を配置するために、管理者の「責務」と「要件」の引き上げが検討されています。これは医師だけでなく、歯科医師においても同様です。
(1)保険医療機関の管理者の「責務」

管理者に課される「責務」として、以下の案が提示されています。
- 院内の保険医が、療担規則(保険医の診療方針等)を遵守するよう監督すること
- 療養の給付に関する申請・届出や、費用の請求手続きが適正に行われるよう監督すること
- 診療録の記載・整備、帳簿や書類の保存が適正に行われるよう監督すること
- 院内の多職種連携(医師、歯科医師、薬剤師等)を図るとともに、地域の医療・福祉サービス提供者との連携を図ること
(2)保険医療機関の管理者の「要件」

管理者の要件については、健康保険法において次のように求められています。(令和8年4月1日施行)
- 保険医であること
- 臨床研修修了後、保険医療機関(医師は病院に限る)において、保険医として3年以上診療に従事した経験があること
- ※または、厚生労働省令で定める要件を備えていること
この「厚生労働省令で定める要件」の解釈として、以下のようなケースが検討されています。
- 臨床研修終了後に適正に保険診療に3年間従事したが、キャリアの事情により要件を満たせない場合
- 医師等の専門知識を活用して公務員等として5年以上勤務し、適正な法令遵守能力があると認められる場合
- 個々の期間では3年または5年の経験年数を満たさないが、合算して5年の経験年数がある場合
- 緊急に保険医療機関を承継する等のやむを得ない事情がある場合
また、経験年数の計算にあたっては、以下の事情等について一定の配慮も検討されています。
- 医局や法人の人事異動による事情
- 育児・介護による労働時間の短縮
- 大学院等での学業・研究を本業としつつ、診療に従事している場合
なお、経過措置として次の2点が用意される予定です(令和8年4月1日時点)。
- 既に管理者である場合:
- 3年間は要件を満たさなくても、同一機関の管理者である間に限り、引き続き管理者であり続けることが可能。
- 既に臨床研修を修了している場合:
- 現に保険医であり、かつ「保険医療機関において3年以上、診療その他管理・運営業務を行った経験」があれば、管理者となることが可能。
今後の動向
施行日である令和8年4月1日に向けて、準備が着々と進んでいます。
議論の詳細については、下記資料も併せてご確認ください。
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