「歯援診」の届出を理解する(在宅療養支援歯科診療所)#01

施設基準

2025/09/25

このコラムでは、施設基準「在宅療養支援歯科診療所(以下、「歯援診」と表記します。)」の届出について、整理してお伝えします。


「歯援診」はどのような施設基準?

「歯援診」は、平成20年度の診療報酬改定で創設された施設基準です。

後期高齢者の在宅又は社会福祉施設等における療養を歯科医療面から支援する歯科診療所の機能を評価しています。


後期高齢者の在宅又は社会福祉施設等における療養を歯科医療面から支援する歯科診療所を「在宅療養支援歯科診療所」と位置付け、その機能の評価を新設する。

「平成20年度診療報酬改定における主要改定項目について(案)」
中央社会保険医療協議会 総-1 (2008年2月13日)



「歯援診1」と「歯援診2」の違いは?

届出で求められる要件に違いがあり、主に、歯科訪問診療の実績や、ほかの医療機関、介護保険施設等との連携によって区分されます。

また、「歯援診1」の方が要件が厳しいため、その分高い点数が算定できるように設定されています。



「歯援診」の届出が受理されると算定上どう変わる?

「歯援診」の届出が受理されると、保険医療機関側は加算が算定できるようになります。


主な加算を下表にまとめました。

実際に算定をされる場合は、告示や通知、疑義解釈等をご確認ください。

「歯援診」の加算点数



「歯援診」はどれくらいの医院が受理されているの?全国の届出状況

9つの都道府県で「歯援診1」と「歯援診2」の届出割合を調査してみました。どれくらいの医療機関が届出しているのでしょうか。(下表参照)


9都道府県の「歯援診1」届出医療機関データ

9都道府県の「歯援診2」届出医療機関データ


「歯援診1」については、全国的にも届出割合が極めて低く、2~5%台で推移しています。「歯援診2」は、地域によって差があり、最も割合が高いのは愛知県で14.5%、最も割合が低いのは東京都で4.8%という結果でした。


いずれも届出されている医院が少ないため、「歯援診」の届出、そして訪問診療の導入は他院との差別化に繋がりそうですね。



▼こちらは「歯援診1・2」の届出に必要な研修内容を満たしています▼

令和6年度診療報酬改定対応 歯科施設基準研修会のご案内



FAQ(Q&A)

Q 届出を行いました。いつから算定できますか?


各月の末日までに届出を受理した場合は、翌月1日から当該届出に係る診療報酬を算定することができます。

また、月の最初の開庁日に届出を受理した場合には、当該月の1日から算定が可能です。

※厚生局によっては、別途、申請締切日を設けている場合があります。詳細は各厚生局のHPをご確認ください。

※重要※

従来の届出受理通知の送付廃止が決定されました。今後は、各厚生局のHPへの掲載のみに切替わります(令和7年度中予定)。ご留意ください。


Q 歯科医院のホームページが無いため、ウェブへの掲載ができません。どうしたら良いですか?


自院のホームページが無い場合は、掲載する必要はありません。

しかし、その場合であっても、届け出た事項を院内掲示する必要があります。自院で所有するホームページがある場合は、院内掲示の他にウェブ掲載も必要となります。「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について,厚生労働省保険局医療課長,厚生労働省保険局歯科医療管理官,保医発0327第10号(令和6年3月27日)

※自院で所有するホームページがある場合は、【院内掲示】と【ウェブ掲載】が必要です。


Q 令和6年度診療報酬改定で、「歯援診」の施設基準に変更はありましたか?


届出要件に一部変更がありました。

《変更箇所(抜粋)》

(1) 在宅療養支援歯科診療所1の施設基準


ア 過去1年間に歯科訪問診療1、歯科訪問診療2又は歯科訪問診療料3を合計18回以上算定していること。

▶歯科訪問診療料の区分が細分化されたことによる変更


キ 以下のいずれかに該当すること。

(イ) 当該地域において、地域ケア会議、在宅医療・介護に関するサービス担当者会議又は病院・診療所・介護保険施設等実施する多職種連携に係る会議に年1回以上出席していること。

▶会議の実施主体が明確化

(ロ) 過去1年間に、病院・診療所・介護保険施設等の職員への口腔管理に関する技術的助言や研修等の実施又は口腔管理への協力を行っていること。

(ハ) (略)


ク 過去1年間に、以下のいずれかの算定が1つ以上あること。

(イ) 在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料の算定があること。

▶栄養サポートチーム等連携加算の廃止、在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料の新設に伴う変更

(ロ) 在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の算定があること。

(ハ) 退院時共同指導料1、在宅歯科医療連携加算1、在宅歯科医療連携加算2、小児在宅歯科医療連携加算1、小児在宅歯科医療連携加算2、在宅歯科医療情報連携加算、退院前在宅療養指導管理料、在宅患者連携指導料又は在宅患者緊急時等カンファレンス料の算定があること。

▶新設の加算の追加


(2) 在宅療養支援歯科診療所2の施設基準


ア 過去1年間に歯科訪問診療1、歯科訪問診療2又は歯科訪問診療3を合計4回以上算定していること。


イ  (1)のイからまで及びケのいずれにも該当すること。


当該診療所において、過去1年間の在宅医療を担う他の保険医療機関、保険薬局、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所又は介護保険施設等からの依頼による歯科訪問診療料の算定回数の実績が回以上であること。

実績回数の緩和(5→3)



▼こちらは「歯援診1・2」の届出に必要な研修内容を満たしています▼

令和6年度診療報酬改定対応 歯科施設基準研修会のご案内

関連する疑義解釈

Q 在宅療養支援歯科診療所1及び在宅療養支援歯科診療2の施設基準において、在宅医療を担う他の保険医療機関、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所又は介護保険施設等からの依頼による歯科訪問診療の実績が5回以上必要となっているが、「等」の中に他の歯科医療機関からの依頼も含まれるか。


含まれる。

ただし、5回以上の実績のうち1回以上、他の歯科医療機関以外の保険医療機関又は施設等からの依頼があること。なお、全て歯科医療機関からの依頼による場合は認められない。

「疑義解釈資料の送付について(その1)」

厚生労働省保険局医療課,事務連絡(平成30年3月30日)


Q 初診料の注1、地域歯科診療支援病院歯科初診料、歯科外来診療医療安全対策加算1、歯科外来診療医療安全対策加算2、歯科外来診療感染対策加算1、歯科点数表の初診料の注16、再診料の注12、小児口腔機能管理料の注3に規定する口腔管理体制強化加算、在宅療養支援歯科診療所及び在宅療養支援歯科病院の施設基準に規定する各研修について、オンライン会議システムやWEB 配信を含むe-learning 形式等を活用し、研修を実施することは可能か。


→可能。ただし、オンライン会議システムやe-learning 形式等を活用して研修を実施する場合は、出席状況の確認、研修時間の確保、受講者からの質問への対応、研修内容の理解度の確認等が行えるような形式で実施すること。


例えば、
・ オンライン会議システムを活用する場合、受講者は原則としてカメラをオンにし、主催者が出席状況を確認できるようにする。
・ e-learning 形式の場合、主催者が、受講者の学習時間、進捗状況を含め受講前後のテスト等の実施により研修の完了を把握する。
・ 受講者からの質問等について、オンライン会議システムの場合は、チャットシステムや音声発信を用いることや、e-learning 形式の場合は、別途質問を受け付け、回答できるような運用を行い、必要に応じ質問・回答について研修会のWeb ページに掲載する。
などが考えられる。

「疑義解釈資料の送付について(その4)」

厚生労働省保険局医療課,事務連絡(令和6年5月10日)


▼こちらは「歯援診1・2」の届出に必要な研修内容を満たしています▼

令和6年度診療報酬改定対応 歯科施設基準研修会のご案内

「歯援診」の施設基準は、平成20年度に創設されていますが、全国的にまだ届出している医院が少ない施設基準です。そのため、他院との差別化を図るために、「歯援診」の届出は有効であると考えます。


中でも、「歯援診2」は比較的ハードルが低い施設基準のため、<これから訪問診療に力を入れていきたい歯科医院>におすすめです!

(近年の診療報酬改定では「歯援診2」の要件が緩和している傾向にあります。)


最後まで、お読みいただきありがとうございました。


この記事の関連記事

中医協のデータから見る! 施設基準の届出状況の推移

中医協のデータから見る!施設基準の届出状況の推移 …

中医協のデータから見る!施設基準の届出状況の推移 …

「口管強」(口腔管理体制強化加算)の“疑義解釈”をみてみよう!

このコラムでは、施設基準「口腔管理体制強化加算(以下、「…

このコラムでは、施設基準「口腔管理体制強化加算(以下、「…

「歯援診」の届出を理解する(在宅療養支援歯科診療所)#02

このコラムでは、施設基準「在宅療養支援歯科診療所(以下、…

このコラムでは、施設基準「在宅療養支援歯科診療所(以下、…

「歯援診」の届出を理解する(在宅療養支援歯科診療所)#01

このコラムでは、施設基準「在宅療養支援歯科診療所(以下、…

このコラムでは、施設基準「在宅療養支援歯科診療所(以下、…

「外感染」の届出を理解する(歯科外来診療感染対策加算)#02

このコラムでは、施設基準「歯科外来診療感染対策加算(以下…

このコラムでは、施設基準「歯科外来診療感染対策加算(以下…

「外感染」の届出を理解する(歯科外来診療感染対策加算)#01

このコラムでは、施設基準「歯科外来診療感染対策加算(以下…

このコラムでは、施設基準「歯科外来診療感染対策加算(以下…

「外安全」の届出を理解する(歯科外来診療医療安全対策加算)#02

このコラムでは、施設基準「歯科外来診療医療安全対策加算(…

このコラムでは、施設基準「歯科外来診療医療安全対策加算(…

「外安全」の届出を理解する(歯科外来診療医療安全対策加算)#01

このコラムでは、施設基準「歯科外来診療医療安全対策加算(…

このコラムでは、施設基準「歯科外来診療医療安全対策加算(…

人気記事ランキング

診療側vs支払側 意見書から読み解く

令和7年12月10日、中医協において診療側・支払側の…

「令和8年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)」ななめ読み

令和8年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)が発表されまし…

日本歯科衛生学会 第20回学術大会レポート「歯科医療DXで変わる! 歯科衛生士の未来 ―知る、活用する、つながる―」

歯科医療DXは、歯科衛生士の未来をどう変えるか? ―…

周術期から生活習慣病まで、歯科医療の新たな連携モデル

周術期から生活習慣病まで、歯科医療の新たな連携モデル …

【セミナーレポート】患者に寄り添う訪問歯科診療

通院が難しい高齢者が増える今、訪問歯科診療には、外来…

超高齢社会における歯科の役割

超高齢社会における歯科の役割 在宅歯科医療の需要と供給…

中医協のデータから見る! 施設基準の届出状況の推移

中医協のデータから見る!施設基準の届出状況の推移 …

「口管強」(口腔管理体制強化加算)の“疑義解釈”をみてみよう!

このコラムでは、施設基準「口腔管理体制強化加算(以下、「…

「歯援診」の届出を理解する(在宅療養支援歯科診療所)#02

このコラムでは、施設基準「在宅療養支援歯科診療所(以下、…

「歯援診」の届出を理解する(在宅療養支援歯科診療所)#01

このコラムでは、施設基準「在宅療養支援歯科診療所(以下、…

人気記事ランキング