今さら聞けない地域包括ケアシステムのこと ~Vol.2 地域包括ケアシステムの5つの要素と4つの助~

特集

2023/06/07

Vol.2 地域包括ケアシステムの5つの要素と4つの助

超高齢社会において、医療や介護のニーズはますます増えることが予想されています。そのような中、我が国では「地域包括ケアシステム」の構築が推進されています。「地域包括ケアシステム」って一体どのようなものなのでしょうか?なんとなく理解しているつもりだけど、詳しくは知らない・・・。そんな方も多いのではないでしょうか。 この連載記事では、「地域包括ケアシステム」の重要な担い手でもある医療従事者のみなさまに、「地域包括ケアシステム」に関する基本情報を配信してまいります。

 

「5つの要素」を一体的に提供できるケア体制

地域包括ケアシステムは、高齢者が、介護が必要になった場合も、自宅や住み慣れた地域で可能な限り最後まで安心して日常生活を送れるようなサービスを提供する仕組みです。地域包括ケアシステムでは、全国一律のサービスを提供するのではなく、地域の実情に合わせて医療や介護などのサービスが一体的に提供されています。地域包括ケアシステムは「住まい」「医療」「介護」「生活支援」「介護予防」の5つの要素によって構成されています。これらの5つのサービスが包括的に提供されることで、地域包括ケアシステムが実現します。

 

◆住まい

「住まい」とは高齢者が生活を送る場所のことで、自宅やサービス付き高齢者向け住宅などを指しています。住まいの提供だけでなく、賃貸住宅への入居時の保証人確保、手続きのサポートなど、高齢者が住まいを確保するための支援全般が含まれています。

 

◆医療

医療は、かかりつけ医や地域の連携病院、急性期病院、回復期リハビリ病院などが互いに連携し、情報共有を行います。日常的に提供される医療はかかりつけ医や地域の連携病院が担い、急病での入院など緊急性の高い医療は急性期病院などが担当。これらの病院が連携することで、在宅と入院の切り替えをスムーズに行えます。

 

◆介護

介護では、必要に応じて、以下のような在宅系サービスと施設・居住系サービスの2つを提供します。 ・在宅系サービス:訪問介護、訪問看護、通所介護、小規模多機能型居宅介護、短期入所生活介護、24時間対応の訪問サービス など ・施設・居住系サービス:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、認知症共同生活介護、特定施設入所者生活介護 など

介護が必要になった高齢者に対して、在宅系サービスと施設・居住系サービスを臨機応変に提供できるような体制を整えます。

 

◆生活支援

自治体やボランティア団体、NPO法人、地域住民などが主体となり、買い物支援や配食、食材配達、安否確認など、高齢者が元気に生活を送る上での支援を行います。

 

◆介護予防

自宅で生活する高齢者に向けて、介護予防サービスを提供します。在宅生活の支援のほかにも、地域住民との交流や社会参加機会の提供、自立支援、家事や外出のサポートなども、介護予防につながる支援です。

 

地域包括ケアシステムを機能させる「4つの助」

地域包括ケアシステムを推進するには、4つの「助」と呼ばれる「自助」「互助」「共助」「公助」が重要です。

 

◆自助

高齢者自身が、自分で自分を助けることを指します。健康維持や介護予防への取り組み、医療サービスの受診、市場サービスの購入など、高齢者が自発的に課題解決を行う力です。家族からのサポートや、介護保険・医療保険の自己負担も、自助に該当します。

 

◆互助

家族・近隣住民・友人・趣味仲間などと助け合い、それぞれが抱える課題をお互いに解決することを指します。「共助」とも類似していますが、互助は公的制度ではなく費用負担が保証されていない自発的な助け合いであるのが異なる点です。隣人とのちょっとした助け合いや、趣味を通じた仲間づくり、ボランティア活動などが想定されます。

 

◆共助

介護保険に代表される制度化された相互扶助を指します。ほかにも医療保険や年金、社会保険などがあります。

 

◆公助

自助・互助・共助ではサポートしきれない生活困難者に対して生活保障を行う行政サービスです税金によって成り立ち、高齢者の日常生活を支援する高齢者福祉事業や、生活困窮者に最低限の生活を保障する生活保護、虐待対策、人権擁護などが含まれます。

 

地域包括ケアシステムでは、これらの4つの「助」の連携によって、バランスの良いサポートの提供が可能になります。共助・公助などの国の制度を利用した支援だけでなく、自助・互助を取り入れ、高齢者が自らまたはお互いに生活を支えていくことで、地域包括ケアシステムがうまく機能するようになります。

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